院長ブログへようこそ!
最近サカナ関連が多いですが、皮膚科診療に関する情報も頑張って発信していこうかと思います!
今回は…自由診療で行っている「うす毛治療」についてです。
かく言う私も、年々薄くなっている自覚はありますが…
今のところ自分的に許容・妥協している状態で…
まだ治療開始には至っておりません…
が…
自ら薬剤を使用してリアルを体験してから患者さんに薦めるのが筋かな?と考えてはおり…近いうちに実際いろいろ使ってみようかと思っております!
それでは本題に入らせていただきます…
うす毛で悩んでいませんか?
男性型脱毛症(male pattarn hair loss , androgenic alopecia)は、思春期以降にはじまり、徐々に進行する脱毛症です。
病気というよりは生理的現象ですが、外見的にコンプレックスを抱きQOL(quality of life)を低下させることもあります。
最近は、医療機関で「飲み薬」が処方できるようになり、科学的根拠のある「塗り薬」も市販されるようになってきました。
また、女性についても同様にうす毛に悩んでおられる方もいらっしゃると思いますので、医療機関として寄り添えればと考えております。
どのようなものか?
男性型脱毛症とは、毛の成長期が短くなって、休止期に留まる状態となり、前頭部や頭頂部の毛が細く短くなり、最終的には毛が表面に出てこなくなる状態です。20代後半はら30代でピークを迎え、40代に向け完成していきます。遺伝性があり、男性ホルモンが関係します。
女性型脱毛症は、頭頂部の比較的広い範囲の頭髪が薄くなるパターンをとります。更年期に多発する傾向があります。男性ホルモン依存性では説明できない病態もあり「女性型脱毛症(female pattern hair loss)」という病名を用いることが国際的にも多くなっております。
病態は?
男性ホルモンは、骨・筋肉の発達を促し、髭や胸毛などの毛を濃くする方向に働きます。しかし、前頭部や頭頂部の男性ホルモン感受性毛包に作用すると毛の軟毛化をひきおこします。男性ホルモン感受性毛包の毛乳頭部では「Ⅱ型5α-還元酵素」の働きでテストステロンが活性の高い「ジヒドロテストステロン(DHT)」に転換されて作用します。DHTが作用した前頭部や頭頂部の毛包では成長期が短縮されます。
診断は?
男性がた脱毛症の診断は、問診により家族歴、脱毛の経過などを聴き、視診により額の生え際が後退し、前頭部および頭頂部の毛が細く短くなっていることを確認します。
男性型脱毛症の診断は比較的容易ですが、ゆっくり頭髪が抜け頭部全体が疎となる円形脱毛の亜型との区別が難しい場合もあります。
女性型脱毛も、慢性休止期脱毛、膠原病や慢性甲状腺炎などの全身疾患にともなう脱毛、貧血、急激なダイエット、その他の消耗性疾患に伴う脱毛、治療としてのホルモン補充療法や薬剤による脱毛などと区別することが重要です。
最近は微量ミネラルである亜鉛欠乏と抜け毛との関係も取り沙汰されております。
治療は?
日本皮膚科学会では以下のようにエビデンスに基づいた治療が検証されております。
推奨度A(行うよう強く勧める)の治療は…
◤フィナステリドの内服
◤デュタステリドの内服
◤ミノキシジルの外用
◎フィナステリドとデュタステリドの違いは?
フィナステリドは毛乳頭特異的に発現するⅡ型抑制する(Ⅰ型の抑制効果は弱い)。
デュタステリドはⅠ型、Ⅱ型ともに抑制する。デュタステリドはフィナステリドと比較してⅠ型5α還元酵素を約100倍、Ⅱ型を約3倍強く抑制したというデータがあります。
次いで推奨度B(行うよう勧める)は…
◤植毛術(男性型脱毛症)
◤LEDおよび低出力レーザーの照射
基礎実験では、ヒト毛乳頭細胞、線維芽細胞に対する効果について、mRNAレベルにおいて赤色LEDはVEGF、HGF、KGF、Leptinを増加させる効果がみられたとのこと。
◤アデノシンの外用(男性型脱毛症)
推奨度C1(行ってもよい)は…
◤植毛術(女性型脱毛症)
◤アデノシン外用(女性型脱毛症)
◤カルプロニウム塩化物の外用
◤t-フラバノンの外用
◤サイトプリンおよびペンタデカンの外用
◤ケトコナゾールの外用
◤かつらの着用
推奨度C2(行わないほうがよい)は…
◤成長因子導入および細胞移植療法
推奨度D(行うべきではない)
◤ミノキシジルの内服
ミノキシジル内服の有効性と安全性について臨床試験による確認は行われておらず、強力な降圧薬であることや、全身の多毛など有害事象もあることから推奨度Dとされた。
太字・アンダーラインのある治療法は当院でも実施しております。
ご希望のある方は気兼ねなくご相談くださいね!