適応追加
今まで、「がん性皮膚潰瘍部位の殺菌・臭気の軽減」のみに適応だったロゼックス®ゲルが、今回「酒さ」に適応追加されました。
酒さってどんな病気?
「酒さ」は、頬部や鼻部、前額部の顔中心部が赤くなる、いわゆる「赤ら顔」を特徴とした病気です。顔の火照りや赤みが強くなることで不快感を伴います。
米国のNational Rosacea Societyは2002年に①紅斑・毛細血管拡張型、②丘疹・膿疱型、③鼻瘤型、④眼型の4つの主要病型と、肉芽腫型という一つのバリアントを合わせて5病型に分類する案を提唱し、この分類が広く使用されています。
ロゼックス®ゲルの有効成分は「メトロニダゾール」という抗生物質で、この塗り薬は「酒さ」に対する世界の標準治療薬なのですが、今まで本邦では未承認でした。
ロゼックス®ゲルは、この中でも上記②の丘疹・膿疱型酒さ(papularpustular rosacea:PPR)に有効です。大人ニキビは、実は「酒さ」であるという考えも提唱されています。ですから、温度変化や紫外線を浴びた際に、火照りを感じるようなあくまで「酒さ」を合併する、通常治療に反応の悪い大人ニキビにも本剤の適応があると考えます。
一方、持続する樹枝状の血管拡張や肉芽腫性の大型丘疹・小結節に対しては効果が期待できないと言われております…
実物の使用感ですが…
とろっとした光沢のあるゲル基剤です。
伸ばしてみると、ひんやりと伸びがよく、特段においや刺激感などもありません。
さて、ロゼックス®ゲルですが…薬価は102.3円/gで、3割負担の方だと15gチューブ1本で460円の負担となります。
注意点としては以下のものがあります。
①1日2回、患部を洗浄後、適量を塗布します。
②炎症性皮疹数の変化率は2週後からプラセボ群と比較して有意差があり、12週後には76.42%でした。紅斑重症度は経時的に減少し、8週後からプラセボ群と比較して有意差が認められました。つまり、丘疹・膿疱には数か月で効果が期待できますが、紅斑の改善には年単位の時間がかかる可能性があります。
③ロゼックスゲル群における副作用は接触皮膚炎が3.1%(2/65例)、乾燥1.5%(1/65例)、そう痒1.5%(1/65例)つっぱり感1.5%(1/65例)、皮脂欠乏症1.5%(1/65例)でした。
⑥本剤の使用中は、日光又は日焼けランプ等による紫外線曝露をさけること。本剤は紫外線照射により不活性体に転換され、効果が減弱することがあります。
⑦小児等への臨床試験を行っていないとの記載があるため、添付文書上では15歳以上の使用が可能と考えられますが、臨床試験では18歳以上を対象としております。
⑧禁忌は、本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者、脳、脊髄に器質的疾患のある患者、妊娠3か月以内の女性です。
酒さで悩んでいる患者さんは是非ともご相談ください。