ヒフときどきサカナ

もっこす院長が発信するブログ

【アトピー性皮膚炎】塗り薬に新たな選択肢が!

トピー性皮膚炎新薬

アトピー性皮膚炎と聞くと「不治の難病」にかかったかのような反応をされる患者さんもおられます。

 

基本的には敏感肌の患者さんに慢性的に湿疹がでる病気で、小児の場合多くは中期的には自然治癒する病気です。青年や成人期に再燃した場合は治りにくい場合が多いです。

 

長期間放置しておくと慢性化していくので、早期に炎症を抑えコントロールしていくことが大切です。

 

アトピー性皮膚炎の治療は、

・スキンケア

・刺激の除去と回避

・治療

の三本柱です。

 

治療としては、一般的にはステロイドの塗り薬が中心となります。

しかし、ステロイドの塗り薬は不適切な使用により、感染症(吹き出物、とびひヘルペスカンジダ症)の悪化、皮膚の萎縮や毛細血管の拡張、多毛などが発生することもあり、それらを起こした患者さんにとっては治す薬で新たな病気が起きたことにより、いわゆる「怖い薬」と認識されていることも多いです。

 

実際は炎症の火を速やかに抑えて病気の進行を止めてくれる頼れるお薬なのですが…

 

定期的に通院し、ドクターの観察下に使用すれば大きな問題をおこすことはないので必要以上に恐れることはありません。

 

 

 

レクチム®軟膏

さて、本日はアトピー性皮膚炎の新薬「コレクチム®軟膏0.5%」という薬が登場しましたのでご紹介です。

 

ステロイド塗りたくないっ!」という患者さんにはステロイド以外の選択肢の幅が広がるということで朗報ですね。

 

f:id:TAITAITAI:20200426075440p:plain

世界で初めての外用ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤の塗り薬です。

 

この薬、デルゴシチニブは、ヤヌスキナーゼファミリー(JAK1/JAK2/JAK3およびTyk2)のすべてのキナーゼ活性を阻害することにより、種々のサイトカインシグナル伝達を阻害します。この作用機序に基づき、サイトカインにより誘発される免疫細胞および炎症細胞の活性化を抑制して皮膚の炎症を抑制します。また、サイトカインにより誘発される掻破行動(そう痒)を抑制するとされています。

 

用法および用量は1日2回、1回あたりの塗布量は5g(1本)までと上限があります。

新薬のため2週間分しか処方できないため、1回の処方で最大でも28本つまり140gまでしか出せません。

 

薬価は1gで139.70…ということは1本約700円、3割負担であれば210円となります。

 

効果については、やはりステロイドと比べると炎症抑制効果が緩徐な印象です。

 

副作用については、1%以上の副作用を見ると、

感染症及び寄生虫症:適用部位毛包炎(2.4%),カポジ水痘様発疹

・皮膚及び皮下組織障害:接触皮膚炎

・一般、全身障害及び投与部位の状態:適用部位ざ瘡(2.2%),適用部位刺激感,適用部位紅斑

 と、ステロイドのような多彩な副作用はありません。

 

アトピー性皮膚炎治療の塗り薬には、ステロイド軟膏の他にも、プロトピック®軟膏というものがありますが、プロトピック®軟膏は、塗った場所に刺激感(灼熱間やひりつきなど)があり不快感が強くでて外用を嫌がられることもも多々あります。コレクチム®はプロトピック®に比べると刺激感が少ないようですので、より使いやすい印象です。

 

現在、小児適応(2歳以上)もされておりますので、どうしてもステロイドの使用に抵抗があるという方はご相談くださいね!

www.taitaitai.work